2024-11-26
我々弁護士と勉強は切り離せない関係にあります。
弁護士として働くなか、様々な相談案件に対応できるよう、法律に関する勉強が必要となることは勿論ですが、企業経営や医療など法律以外の分野に関しても、しばしば勉強をすることが必要となります。
弁護士業は、生涯にわたり勉強し続けることを生業としておりますが、このように勉強をし続けるためポイントの一つとして「勉強を楽しむ」ということが挙げられます。そして、心理学の観点からもこの「勉強を楽しむ」ということが重要視されています。
この勉強を楽しむということは、心理学でいうところの「内発的動機付け」に分類されます。「内発的動機付け」とは、勉強そのものの楽しみ、満足感を得るなどといった自身の内面によって勉強をすることが動機付けられる状態(勉強をすること自体が目的となっている状態)をいいます。他方で、この「内発的動機付け」と異なる概念として「外発的動機付け」という心理学上の分類方法があります。この「外発的動機付け」とは、勉強をすることによって報酬が得られる、叱られないようにするなどといった外的な要因によって勉強をすることが動機付けられる状態(勉強以外の目的を達成するための手段となっている状態)をいいます。この「内発的動機付け」は、「外発的動機付け」よりも、学習の持続性につながることが研究により示されています(市村賢士郎、楠見孝「課題への取り組みの持続性に及ぼす諦め行動と介入のタイミングの影響」心理学研究2019年第90巻第1号など)。
また、この「内発的動機付け」の重要性は、渋沢栄一(新一万円札の肖像)の著書において登場する紀元前5世紀頃の道徳書である論語の以下の一節においても示唆されています。
「これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」(物事を好きな人間は、物事を楽しんでいる人間には及ばない。)
現在、私は、帝京大学の各医療系学部において、非常勤講師として、医療社会学という医療分野における社会問題、法学、及び倫理学等をテーマとした講義をしています。この講義においても、自身が日頃から感じている「勉強の楽しさ」を学生と共有できるよう、日々心掛けています。